水子供養体験発表

私は法遍寺信徒のE・Hです。

私は以前に流産を経験したことで、妊娠・出産が当たり前ではなく奇跡の連続の上に成り立っていることを、身をもって体験しました。

私にとって、小さな命がお腹の中に宿ったことはこの上ない幸せな時間でした。そして、その命を失った時の悲しみは言葉では表せないほど辛い経験でした。すぐに立ち直ることは出来ませんでしたが、この世に産まれることが叶わなかった赤ちゃんの大切な命が、成仏へと導かれることを願い供養することが私にとって救いとなりました。

同じような体験をして苦しんでいる方々が法遍寺を訪ねて正しい水子の供養を知っていただきたいと思い、勇気を振り絞り、私の体験を書かせていただきました。

私は以前から子どもが大好きで子供を産みたいと望んでいたので、妊娠がわかった時はとても幸せな気持ちでした。特に病院で赤ちゃんの心拍が確認出来た時は自分の中に小さな命が宿ったことの実感と喜びが溢れ、私が守らなくてはと母性が芽生えた感覚でした。

しかし、そんな幸せも束の間、妊娠8週目にして医師より『心拍が確認出来ません。稽留(けいりゅう)流産です』と告げられました。

そんなはずはない、基礎体温は高いまま…つわりの症状もあるのに、と医師の言葉を受入れることが出来ませんでした。

さらに医師から、『稽留流産の場合、お母さんは心拍のない赤ちゃんに栄養を送り続けるため妊娠症状が残ります。また大量の出血を伴う危険があるので早めの処置をお勧めします』と頭が真っ白な状況の中どんどん話が進められていきました。現実を受け止められず、涙が止まらず全ての説明を主人に任せきりにしていましたが、医師の言葉が更に私を追い詰めました。

2~3日はどうしても心拍が止まってしまった事が受け入れられませんでしたが、4日目頃から少しずつ腹痛と出血がはじまり現実を実感するしかありませんでした。せめて、赤ちゃんだけでも自然に流れてきて欲しいと、御本尊様に手を合わせ涙しながらご祈念していました。

医師から告げられた日から6日目頃からは痛みと出血が酷くなり、どこまで我慢していいのか、いつまで続くのかと不安でいっぱいの時間を過ごしていました。そして、症状が落ち着いてきた頃、ご祈念通り赤ちゃんが流れてきてくれました。不思議なことに、お見舞いに来てくれた母と妹が自宅に到着した時間と同時刻のことでした。あまりにも奇跡のような出来事にその時は悲しみより、驚きと感謝の気持ちが大きくなっていました。

赤ちゃんを失ったことはとても辛く悲しいことでしたが、御本尊様に願っていた通り赤ちゃんが自然に流れてきてくれたこと、更に自分自身への処置の必要がないほど身体を守って頂けたことに感謝の思いが溢れました。

しかし、妊娠8週目とはいえ赤ちゃんを失った悲しさと寂しさは、私にとってあまりにも大きく辛い日々でした。私たち夫婦を選んで来てくれたのに守ってあげられなかったことを悔やんだり、この手で抱きしめてあげられなかったことが悲しくて、どうして自分だけなのかと涙がしながら御本尊様の前で手を合わせ続けました。なんとか赤ちゃんが、成仏できるよう菩提寺である法遍寺へ参詣し手を合わせ、毎月のお塔婆供養もお願いしました。そんな私に御住職様は「半年ほどで必ず赤ちゃんはあなたのもとへ帰ってきますよ」と確信あふれるご指導をくださいました。

そして祈り続けること半年後、なんと私は新しい命を授かることが出来たのです。とてもとても嬉しい気持ちで主人と喜び合いました。今度こそ、この手で赤ちゃんを抱きしめたいと強い思いでしたが、その反面また流産をしてしまったらと不安との戦いでした。ちゃんと心拍は動いているか、元気に育ってくれているか、一日一日が不安で怖くて毎回検診で確認できるまで心配で仕方ありませんでした。

御住職様に安産祈願をしていただき、温かい言葉をかけて頂く度に励まされ大丈夫!大丈夫!と自分に言い聞かせる日々でした。

そして予定より少し早めでしたが無事に元気な赤ちゃんが誕生しました。可愛くて愛おしい赤ちゃんに幸せいっぱいですが、正直今でも流産の悲しみは蘇ります。

その度に、今の幸せは当たり前ではない事を実感し、赤ちゃんの幸せを心より願う日々です。不思議なほど色々なタイミングで守られたこと、周りの方・家族に恵まれ乗り越えられてきたこと、成仏を願い供養する中で新しい命を授かることができた喜び…振り返れば報恩感謝の思いでいっぱいです。産まれて来ることができなかった赤ちゃんの為にも、元気に産まれて来てくれた赤ちゃんの為にも御本尊様に手を合わせ、お塔婆を建てて供養し続けていくことが最善だと信じています。

今回の経験を通して、今までこうして生きてこれたこと、今の幸せは当たり前ではないことに感謝の思いが募り、人が誕生することは奇跡の連続なんだと、今まで以上に命の尊さを身に染みて感じるようになりました。

不妊、流産は経験した人にしかわからない辛さがあります。何度も心が折れそうになる事の繰り返しでした。それでも前を見て前進できたのはこの日蓮正宗の信仰のお陰だと信じています。

大切な命を失い辛い思いをして悩んでいる方が、法遍寺を訪ね力強く乗り越えていかれる事を心より願っています。

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